本の紹介(No.7)

「日本の経済学と経済学者
  −戦後の研究環境と政策形成ー」(池尾愛子篇)

  経済学の分野でユニークな著作物が刊行された。本書の概要は
タイトルと副題から容易の読み取れるが、目次をいちべつするとその
性格は一層明らかになる。
  序章 戦後日本の経済学
  第一章 学術研究と国際化
  第二章 経済学の学術体制
  第三章 経済学者の国際貢献
  第四章 マルクス経済学−『講座』『叢書』に見る軌跡−
  第五章 経済学者と経済政策
  第六章 行政官僚制と経済学
  第七章 経済再建から高度成長へ
  第八章 対外自由化と「産業構造政策」
  本書の編者、池尾愛子は国学院大学教授。その他、八木紀一郎
(京都大学)、川俣雅弘(法政大学)、赤間道夫(愛媛大学)、美濃口武雄
(一橋大学)、西沢保(一橋大学)、野口旭(専修大学)が分担執筆している。
  本書の性格から、巻末の索引(人名及び事項)は充実している。試みに
人名索引において、3回以上登場している人物について「ア行」のみを見て
みよう。経済学者だけでなく政治家・日銀総裁などの名も見られ、本書が
単なる象牙の塔にこもった純粋の経済学、学問としての経済学のみを
扱っているわけではない。
  索引で3回以上登場の人名(ア行のみ)
  青山秀夫、赤間道夫、赤松要、天野貞祐、荒憲治郎、有沢浩巳、
安藤良雄、池尾愛子、池田勇人、石川一郎、市村真一、伊藤誠、伊東光晴、
稲葉秀三、岩田年浩、宇佐美洵、内田穣吉、内田忠夫、宇野弘蔵、
エンゲルス・F、円城寺次郎、大内兵衛、大川一司、大来佐武郎、
大河内一男、大塚金之助、置塩信雄、小倉武一
  経済学(経営学・商学を含む)分野の大学院修了者数の比較表も掲載
されている(92ページ)。最も多く修了者数を出しているのが東京大学(574)。
以下、早稲田大学(500)、京都大学(486)、神戸大学(463)、一橋大学(380)、
慶応義塾大学(366)、明治大学(284)、九州大学(263)、大阪市立大学(236)、
東北大学(185)t続く。(O.R)

(1999年・日本経済評論社・5300円+消費税)

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