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本の紹介(No.27)
「
住まなきゃわからないドイツ」(熊谷 徹著)
著者の熊谷徹は1959年東京の生まれ。早稲田大学政経学部を卒業、
NHKに入社。神戸放送局、ワシントン特派員などをつとめた後、
1990年からフリージャーナリストとしてドイツに住む。『ドイツの憂うつ』、
『新生ドイツの挑戦』などの著書がある。
著者が住んでいるのは、ビールや保険でおなじみのドイツ南部の都市
ミュンヘン。例えば「シュヴァービングと喫茶室」を読むと、ミュンヘンに
行ってみたくなるから不思議だ。
ミュンヘン大学を中心とした地域シュヴァービングは、若い世代に最も
人気がある。
この地域は、19世紀末のドイツ文化の中で、重要な役割を果たして
いる。シュヴァービングには、ヨーロッパ各地から画化、作家、ジャーナリスト
らが集まり、一種の文化コミュニティーの様相を呈した。カンディンスキー、
クレー、リルケ、イブセン、トーマス・マンがここで人生の一時期を過ごした。
ドイツ留学中、森鴎外や斎藤茂吉も、シュヴァービングを訪れている。
おかたいとみられているドイツ人。しかし、こんなやわらかい話題もある。
土曜日の新聞は、不動産や中古車、求人の広告が掲載されている。
大きなスペースを占めているのが、結婚相手や恋人を探す人々の広告。
「私は35歳の男性です。裕福で、健康なスポーツマン。旅行好きで、
ユーモアがあり、タバコは吸いません。30歳から35歳で、タバコを吸わない
ミュンヘン市内もしくは周辺の女性、ぜひお手紙をください」・「私は四十歳の
キャリアウーマン。情熱的で行動力があります。長いブロンドの髪を持ち、
ほっそりした体格の私と,夏にはイタリアの野山を散策し,冬にはスイスで
スキーをし,素晴らしい人生を楽しみたいと思う男性はいませんか。写真を
必ず同封してください」
このような文章が新聞一面を埋めつくす。「日頃は自分中心で気ままに
生活しているように見えるが、実は独り暮らしのさびしさをかこっている
ドイツ人の男女のため息が、行間から立ち上ってくるようだ」と著者は
コメントしている。(O・R)
(2001年・新潮文庫・438円)
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