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本の紹介(No.30)
「
デフレ時代を生きる知恵」
(小学館文庫編集部・編)
2001年3月、政府は、日本経済が「緩やかなデフレ状態」になったという
公式見解を発表した。
政府も認めざるを得なくなったデフレ状況。経済の先行きに対するへの
不安が、ムクムクと首をもたげてくる。景気の混迷、企業の経営不振、雇用の
減少、家計の破綻、そして一家離散・・・・。
一方、デフレで物価が下がるということは、消費者にとっては歓迎すべき
状況ともいえる。
デフレとは「デフレーション(deflation)」の略。戦後の代表的な経済学の
教科書としてあげられるP・A・サミュエルソンの『経済学』では、これを次の
ように定義する。
「インフレーションとは、財貨や生産要素にとり、物価が一般的に上昇する
時期をさす。すなわち、パンや自動車の価格、理髪料金、賃金、地代等が
上昇する時期である。デフレーションとは、逆に、大部分の物価が下降する
時期のことである」
我々の身辺をながめてみよう。マクドナルドが始めた「ハンバーガー平日
半額セール」は、外食産業に大きな影響を与えた。牛丼チェーンの松屋や
らんぷ亭が次々と大幅値下げに踏み切った。その他、多くの外食の店が
争って値下げをした。
外食産業だけではない。電化製品についても、低価格化と値引きは定着
している。ディスカウントを前提とする量販店や大型カメラ店が業績を伸ばす。
一方、百貨店での家電製品の売上は激減している。街で頻繁に見られる
ようになった「100円ショップ」にも、デフレを感じる。
このデフレ経済下において消費者がいかに賢明な行動を取りうるだろうか。
金融資産を300万円保有すると同時に100万円台のローンを抱えている
人をモデルに、本書では「デフレ時代の“行動指針”を示す。金融資産の平均
運用率は1%。ローンコストは5%だ。一方、この人は走行距離が7万キロを
超えた自家用車(査定額はゼロ)を保有しており、「そろそろ買い替えの
時期だな」と思案中だと仮定する。新社の価格は年率5%で下落すると計算
する。この場合、どのような行動を起こすのがもっとも経済合理性に適って
いるか。
インフレ、高金利、高率ベア時代の常識では、次のような行動パターンが
考えられた。
100円を新たに借り入れて、それで100万円の新車を購入する。300万円の
金融資産はそのまま運用し続け、ローンもそのままでおいておく。この場合、
今からちょうど1年後のあなたの全資産の内容は「303万円の金融資産」
「210万円のローン」(以上で正味の金融資産は93万円)「入手後一年目の車」
となる(ケース1)。
次はデフレ時代の行動だ。まず保有している300万円の金融資産から
100万円を取り崩してローンの全額返済にあてる。残り200万円はそのまま
1%で運用すると1年後には202万円。新車を購入するのは1年先で95万円。
この場合には、1年後の資産内容は「107万円の金融資産」「ローンはゼロ」
「購入したばかりの新車」となる(ケース2)。
ケース1に比べてケース2のほうが正味の金融資産は14万円多い。
ケース2のほうが自家用車の査定価格は高い(ただし、ケース2の場合当初
1年間はおんぼろ車での我慢が必要)。こと経済合理性から考える限り、
ケース2の方がいい。この差は、ローンの取り扱い方、ならびに新車を購入する
時期を1年先送りするかどうかに起因する(117ページ)。
デフレ時代には、「借金」や「無駄な買い物」は止めることが必要という訳で
ある。(O.R)
(2001年・小学館文庫・476円+税)
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