Sign In
Sign-Up
Welcome!
Close
Would you like to make this site your homepage? It's fast and easy...
Yes, Please make this my home page!
No Thanks
Don't show this to me again.
Close
本の紹介(No.9)
「
俗語辞海」
この辞典は、明治末期に近い明治42年に発行されたものである。
言葉の定義付けは、あまり詳しく記載されていないが、旧幕府時代の
匂いが幾分残っている辞典である。”俗語”であるからには当時の世相が
はっきり分かるような言葉が多く収録されている事が「俗語辞典」の条件で
あろう。現在であれば、さしずめ「現代用語の基礎知識」あるいは「知恵蔵」
などの辞典が該当すると思われる。言葉の事例を見てみよう。
【うそ】(嘘言)
(名)
。まことでないこと。いつはりをいふこと。つくりごと。
虚
(キョ)
嘘
(キョ)
虚言
(キョゲン)
虚偽
(キョギ)
虚妄
(キョモウ)
詭偽
(キギ)
譎詐
(キッサ)
佯言
(ヤウゲン)
假言
(カゲン)
空言
(クウゲン)
妄誕
(バウタン)
誑
佯
(キャウヤウ)
両舌
(リャウゼツ)
誕慌
(タンクワウ)
誕
妄(タンバウ)
荒唐
(クワウタウ)
等
、そらごと、いつはりごと、
あとなきこと
と定義している。因みに、「広辞苑」でもほとんど定義は同じであるが、
同意語がまったく明記されていない。参考までに、明治42年に発行された
『日本類語大辞典』によると次のようになっている。
【うそ】(嘘言)
(名)
。(事実ならざる言)。「いつはり。いつはる。かたる。
いふ。参看」。
このあと書かれている単語は、ほとんど前記の「俗語辞海」と同様である。
この2つの辞典を比較して分かった事は、
発行されたのが共に明治42年と
同時期である事から
基になったものが同じ物ではなかろうか、と想像される
ことである。
さて、化学の世界にも”うそ”ということがある。「化学史・常識を見直す」
(日本化学会編、講談社ブルーバックス)
の”はじめに”によると、「化学史上の
事実として世間に流布しているもののなかには、誤りや、誤りとはいえない
までも不正確なものが少なくない。」と述べている。この本では「常識のウソ」を
生み出す土台として、5つのカテゴリーを紹介している。ここでは項目だけの
紹介に止めたい。
第一 化学はたえまなく段階的に進歩発展する、というウソ
第二 化学の法則はつねに実験から帰納的に導かれる、というウソ
第三 法則の発見者は自分の発見の内容を後代の人が理解すると
同じ形で理解している、というウソ
第四 化学史とは天才たちの逸話の集積である、というウソ
第五 不注意によって発生し、無反省な孫引きによって増幅されるウソ
”うそ”に関連した言葉ついてもう一つ。うそをついて本当の事のように騙す
のが”詐欺”である。今からおよそ70年前の昭和4年に発行された「近代
犯罪科学全集」(第1巻)
(高田義一郎著、昭和4年、武侠社)
の中に”家庭相手の
詐欺いろいろ−主婦用心帳−”という項目がある。”表彰詐欺”、”釣銭詐欺”、
”同情詐欺”、変災詐欺”、”取調詐欺”、紙幣調査”、つれ出し詐欺”の七つが
紹介されている。よく見ると70年後の現在でも十分通用している詐欺がいくつか
見受けられる。また、ユニークな辞典で知られている「悪魔の辞典」
(A・ビアス著、
平成4年、角川文庫)
によると、”按手・詐欺”とは、「手を按
(お)
くことによって、
祝福したり、清めたりする行為で、多くの教会の制度に共通の儀式であるが、
まことに率直な誠実そのものと言える態度で、「盗賊」派として知られる一派に
よって行われる。」と言っている。
詐欺師については世界中どこでも話題になるが、これを紹介した本を紹介
しよう。「世界不思議物語」
(1979年、日本リーダーズダイジェスト社)
には、”ペテン師・
かたり・贋作者列伝”で世にも不思議な物語が多く紹介されている。関心が
ある人は直接読んでほしい。何故だまされるか、といことを考えると”不思議さ”
と”奇妙な”という思いが湧いてきそうである。
当然ではあるが、世界中どこの国でも罪の軽重はあるが犯罪行為になる
ことに違いない。日本でも”詐欺”は刑法第246条により犯罪行為となり、処罰
される。
「俗語辞海」から2つの言葉を紹介。
【からすがね】烏金
(名)
。朝借りて夕方返す金。日歩で借りる高利の金。
烏金
(カラスがね)
日金
(ヒがね)
ひなしがね
この言葉の語源は、今日借りれば明朝夜明け烏の鳴くと共に返済させられる
ので、この名がついたという。略して”からす”とのみもいう。(「江戸語の辞典」
(講談社学術文庫)
より)江戸時代の川柳に”憎い者高い利を食ふ烏金”という
句がある。
【ごますり】
胡麻摺
(名)
。ごまをすること、また、其の人。
o人
(ネイジン)
侫者
(ネイシャ)
o物
(ネイブツ)
侫漢
(ネイカン)
侫てん
(ネイテン)
侫諛
(ネイユ)
阿諛
(アユ)
阿附
(アフ)
この言葉の語源は、江戸時代の天保頃からの流行語。
(M.D)
追録:”嘘”について書いている本を見つけたので紹介しよう。シリーズ
「日本の名随筆 No.41」
(筒井康隆編、作品社、1986年初版)
は、”嘘”を取扱っており、
短編の随筆を32人の方々が独立のテーマで書いている。
(松平圓次郎・山崎弓束・堀籠美善・明治42年・集文館)
参考図書 類語の辞典
(講談社学術文庫、昭和55年第1版)
近代犯罪科学全集
(高田義一郎著、昭和4年、武侠社)
悪魔の辞典
(A・ビアス著、平成4年、角川文庫)
化学史・常識を見直す
(日本化学会編、講談社ブルーバックス)
前のページに戻る