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本の紹介(No.11)
「
日本工業史」
(横井時彦著)
この本は、当初明治30年に出版され、訂正増補後再出版された。
その後白楊社から横井時彦全集の第三巻としても出版されている。
昭和4年に改造社より文庫本として出版され、昭和12年現在40版に
及んでいる。その後、1982年(昭和57年)に原書房から単行本として
再出版されている。著者横井時彦の経歴は、本書の解説の中で次の
ように紹介されている。著者は、名古屋藩士猪右衛門の3男として安政
6年12月城内三の丸中小路に生まれ、明倫堂、養成学校、早稲田専門
学校に学び、その間佐藤楚材、小中村清矩(
キヨノリ
、国学者、文学者)、
栗田寛(
ヒロシ
、国史家、文学博士)等について和漢の学を修めた。
早稲田卒業後は高等商業学校高等工業学校等で教鞭をとった。また
小杉榲邨(
スギムラ
、国学者、文学博士)、
小中村清矩、本居豊頴(
トヨカヒ
、
国学者、文学博士)等と交遊して学を深めた。明治35年文学博士。主な
著書として「大日本不動産史」「大日本商業史」「大日本殖産史」「芸窓襍載」
「大日本繪画史」等がある。
本書は、全6編から構成されている。全体のページ数から占める割合は、
第1編上古時代の工業から第4編武家時代の工業は18%、第5編徳川
時代の工業は15%、第6編維新後の工業は67%、となっている。本書は
明治30年末に既に脱稿しているにもかかわらず、明治維新以後が全体の
7割弱に及んでいる点については、明治に入ってからの工業の発達が日本に
とって如何に著しかったかが分かる。
第1編から第4編までは、前半は寺院、貴族、後半の武家時代は東山
文化、桃山文化が代表する諸工業について書かれている。製紙、織物、
彫刻、建築が主なもので、後半はこれらに茶道具などが加わる。第5編に
なると陶磁器、銅器などが更に加わる。明治維新後は、機械工業が更に
発達したが、特に西洋からの技術が大幅に取り入れられ、従来日本で
行われていた手工業は大きく後退し工業の近代化が進められた。
最後に、最近日経文庫から出版された「日本産業史 1〜4」(1994年、
有沢広巳監修、日本経済新聞社)は現在の時点から見た産業の歴史が
極めて詳細に記述されており、本書とあわせて読むことをお勧めしたい。
(M.D)
(横井時彦・昭和4年・改造社)
参考図書 日本人名辞典(思文閣)
日本産業史(日本経済新聞社)
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