Sign In
Sign-Up
Welcome!
Close
Would you like to make this site your homepage? It's fast and easy...
Yes, Please make this my home page!
No Thanks
Don't show this to me again.
Close
本の紹介(No.23)
「
和漢薬考(前編・後編)」(小泉栄次郎著)
本書は、初版は明治26年(1893年)11月今からおよそ107年前に
朝香屋書店から発行されたものである。
漢方薬は、元々中国から
伝わったものである。従って、本書に書かれている薬効は、中国での
歴史を遡ることにより、そのほとんどが解明されてしまうものであろう。
ただし、本書の中には西洋医学の用語が多く見出されることから、
著者が西洋医学についての識見も持ち合わせているものと思われる。
本書では、説明する項目を次のように分類している。
異名 効能 来歴
産地 製剤 備考
基本 処方
種類 貯法
栽培 用法
湯蒸法 禁忌
形態 用量
成分 贋品
取上げている品種は、動物、鉱物、植物など全部で512種類に及んで
いる。馴染みのあるものからほとんど聞いたこともないようなものまで、
イロハ順に配列されている。本書では「本草綱目」、「和漢三才図会」、
「和蘭薬鏡」、「薬学雑誌」などからの引用が特に多く見られる。
例えば、”人参”の項目を見てみよう。〈異名〉として次のものをあげて
いる。
参 地精 血参 紫團参
人身 白物 湯参 孩児参
人かん 神草 棟参 高麗参
人しん 海そう 百済参 百尺杵
人微 鬼葢 白修参 皺面丹
土精 黄石 羊角参
皺面還丹
玉精 黄参 遼東参 金井玉蘭
産地としては、韓国、清国、米国、日本となっている。清国は現在の
中国で、本書では、特に”関東人参”が満州(現在の中国北部)で産出
することを特記している。米国では北カロリナ州及びカナダ地方で産出
されるとしている。
種類は、本書では”清国人参”、米国人参”、”日本人参”の3種類に
分類している。
”清国人参”については、野生のもののうち満州で栽培されている
深山の人参は、極めて高価に取引されるため、政府の専有となっている。
”朝鮮人参”は、”紅参”と”白参”に分けられる。この人参は培養して
収納するまでに7年以上の歳月を要するため、全て国が管理している。
当時の韓国内で産出する野参、山参は、”清国人参”の2倍以上の価格で
あったため、韓国人は2本売買すると1年生活ができたという。
(報知新聞浅泉子之談)
”湯蒸法”について紹介している。湯蒸とは、人参を蒸し籠に入れて
蒸気で蒸すことである。蒸した後、冷却し火を使って乾燥させ4〜5日間で、
人参は紅参になるという。
日本参人参の形態については、図により経年を示している。また、
成分については、”パナクイロン”(Panaquilon)と”サポニン”(Saponin)の
2つの成分が含有していることが分かっている。
”効能”、”製剤”、”処方”、”贋品”、”来歴”など非常に詳しく記述して
いる。
他の項目について、どの項目をとって見ても興味をそそられ、読み物
としても面白いといえよう。(池田)
(小泉栄次郎著・明治26年・朝香屋書店)
前のページに戻る