特別閲覧室(No.1)

日蘭交流400年の歴史と展望」(財団法人 日蘭学会)

  この本は、タイトルの通り日本とオランダが交流を始めてから400年経ち、
その歴史を振り返って過去の見直しを行い、将来の発展を期して発行された
ものである。
  リーフデ号が日本に到来してから、徳川時代の鎖国政策、明治維新での
開国、太平洋戦争、など幾多の歴史的な経緯があり、波瀾とも言うべき時代を
超えて今日があったわけである。将来の日蘭関係は、世界の中でアメリカと
ヨーロッパを結ぶ掛け橋となることが中心になると思われる。今後は、平和な
時代が当分続くものと考えられるので、日本とオランダが世界に果たす役割が
どこに、どのようにあるのか、十分見極める必要があると思う。
  さて、本書の目次を紹介しよう。

    開放から隔絶へ
      −平戸における初期の日蘭関係、1600−1640年−
    鎖国
    18世紀の貿易衰退とロシアの接近
    文化交流序説:日本・中国・西洋
    自然科学
    西洋医学の日本への紹介
    蘭学:通詞、語学、地理・歴史
    日本美術の中の阿蘭陀
    オランダ国内の19世紀日本コレクション
    東アジアの緊張と日蘭関係  19世紀
    日蘭関係史のなかの「蘭印問題」
    戦争の記憶
      −インドネシアにおける日本統治の歴史とその認識−
    オランダ人から見た戦後日本
      −戦争犯罪と歴史の効用をめぐって−
    講和条約と保護主義
      −オランダと日本の外交関係 1945−1971年−
    日蘭関係の将来
    オランダ史概説

  以上であるが、この本の執筆者は、国内32名、在外36名に及び、幅広い
研究者、学者により構成されている。また、索引は人名・書名・事項名の
各方面から行う事が出来、利用者にとって使い易く出来ている。本文の随所に
カラーの挿絵が挿入されているのも見て楽しめる企画と言える。欲を言えば、
蘭学又はオランダに関係した人を、一覧表で紹介してほしかった。オランダと
日本の歴史に関してこれだけまとまった書物は、多くは見当らないであろう。
(M.D)

(編集人 Leonard Blusse  Willem Remmelink  Ivo Smits・平成12年・財団法人日蘭学会)

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