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地方史資料の紹介(No.1)
「
東京市史稿」(東京都編纂)
地方史資料の紹介をすることとしたい。地方史の位置付けは「近世史
ハンドブック」(近藤出版社)の項目の捕らえ方を見ての通り、政治、経済、
外交、産業、交通、文化など、どの分野を取上げても京都、大坂、江戸の
三都市を囲む地方の存在が極めて重要な存在となっていることは今更、
述べるまでもあるまい。
第一回目として、政治の中心である”江戸”についての歴史的な事項を
記述した”東京市史稿”を取上げたい。
この本の紹介については、”はしがき”に記載されている文章の一部を
そのまま紹介することとしたい。
東京都における史料編さん事業は、旧東京府・東京市の事業を継承し
今日に及んでいる。
「東京市史稿」は、主として旧東京市域(現行23特別区の範囲)を対象に、
江戸開府以前から明治末年に至る史料集で、江戸・東京に関する主要な
歴史事象を年月日順に収録したものである。
明治44(1911)年”皇城篇”第一を刊行以来、太平洋戦争の末期から一時
中止を余儀なくされたが、昭和27(1952)年に復活、平成7年度までに次の10篇
163冊を刊行してきた。
皇城篇5・御墓地篇1 市街編87 変災篇5 上水篇4 救済篇4
港湾篇5 遊園篇7 宗教篇3 産業篇40 橋梁篇2
総頁数は15万7千頁余となり、利用者が目的の史料に早く到達するためには、
篇別目次総覧・事項別目次索引等が必要であった。そこで平成2年度から
篇別目次索引カードを作成し、コンピューターに情報(年次、事項名、篇別巻頁、
出典、図版等)を入力してきたところであるが、その成果の一部を平成7年度に
「東京市史稿 篇別目次総覧」として刊行する……
その後、平成8年度に
「東京市史稿 事項別目次索引」が無事刊行され、
索引については従来にも増して、より充実される事となった。現在、「
東京市史稿」は、
東京を含む一都三県の歴史的な事項を調べるには欠かす事の出来ない重要な
史料集の一つとなった。現在所蔵している「東京市史稿」は、刊行されたもののうち
わずか10冊程度に過ぎないが、お金と場所があれば手元に置いて何時でも見たいと
思う史料の一つである。
ここでは、所蔵しているものの内”港湾篇”
(第二)
を紹介したい。このシリーズは
全部で5巻発行されている。第二巻は寛保2年
(1742)
から安政元年
(1854)
までの
およそ110年間にわたる江戸湾と関連する河川に関する歴史的な事項が記載
されている。なかでも、本所堅川(通)については全頁合計すると50頁以上に
わたって記載されており、特にこの川の普請は幕府にとって重要なものであったと
考えられる。
寛政10年6月、将軍徳川家齊は、”天地丸”に乗船し芝浦、品川の辺で漁猟を観た。
文政元年5月、イギリス船が浦賀に渡来している。早速江戸から、奉行内藤外記、
代官大貫治右衛門が駆けつけ、武器を取上げ、糺門(きゅうもん)し
帰帆を命じ、退帆した。
天保13年7月、異国船の打払令を停止した。
天保13年12月、羽田奉行を設置。
弘化2年正月、浦賀鶴崎に砲台を築造。
弘化3年閏5月
、アメリカ合衆国軍艦一隻が三浦郡野比沖に来る。浦賀奉行
大久保忠豊が説得の上退帆した。
その他多くの出来事が
”港湾篇”には
記載されている。また、地図、図面など写真
製版による鮮明なものが、別刷りで頁の間に挿入されている。
”港湾篇”全体を
把握するには系統立てて調べながら読まないと難しい面があるが、断片的に拾って
読んでも面白い本だと思う。弘化3年2月以降については、できれば「大日本維新史料」
(
維新史料編纂事務局(又は文部省)、昭和13年〜、明治書院)
などの史料と並行して読むことを
薦めたい。
都内にある図書館でも”東京市史稿”が全巻揃っているところはほとんどないのでは
なかろうか。因みに国会図書館はもちろん所蔵していると思うが、日比谷図書館、
中央図書館などの主要な都立図書館は確認していないため所蔵の有無は不明である。
この種の本は、歴史的な項目を調べる上で欠かせないと思えるので、出来れば
データベース化をしてインターネットで情報を検索出来るようにして頂くことを臨む。
また、全国の地方史資料については、資料センターを作って総合的に資料管理
するようにし、インターネットで何時でも見る事が出来るようになれば、研究家にとっては
非常に有難いのではないだろうか。
(M.D)
(東京都、大正15年
(昭和52年再版)
)
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